まほろ駅前多田便利軒


まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)

まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)



友達に貸してもらって読みました。


読み終わるとなんだか心が落ち着く、そんな本です。



東京のはずれにあるまほろ市を舞台に、


便利屋を営む多田啓介と、そこに転がり込んできた


高校の同級生の行天晴彦が織りなす物語です。



この物語のメッセージは

壊れてしまったものを完全に元に戻すことはできないけど、

やり直すことはできる


ということ。



物語の中では、友達の不注意で切断された行天の小指に象徴されます。


幸運にもつながった小指は神経が通っていなくて、他の指に比べて冷たい。


きっとこんな感じに、壊れてしまってぎこちないモノや関係は世の中にあふれてて、


みんななるべく触れないように目をそむけているんじゃないかなと思います。


この物語の登場人物もみんな何かしら壊れたものを抱えています。

傷はふさがっているでしょ。

たしかに小指だけはいつも他よりちょっと冷たいけど、

こすってれば、じきにぬくもってくる。


すべてが元通りとはいかなくても、修復することはできる。


という行天の言葉にはハッとさせられる。


元通りは難しいけど、やり直せる。